ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/3/27

街語り「商店街」


 やけに美しいタイル張りの道がある。ときとして人通りが少なく、それは不釣り合いなほど艶やかに輝いて見えることがある。両脇には小さな専門店が軒を連ね、個性豊かな表情をして佇むも、疎らなアーケードの照明が、いまは少し物悲しい。

 商店街の歴史は古く60年代にはすでに形を成し、70年前後にアーケードが完成。大小の祭りや催事、店々の独創的なアピールが催され、駅前は一気に活気づいた。

 いまでは珍しくもない複合型飲食店は「錦水ガーデン」といい、映画館の一階には小規模の共同テナントが併設され、街のオアシスの役目を果たした。いつの時代でも先進的な顔をもって、そこへ住まう人、街を利用する人たちと一緒に歩んできた。おおよそ衣食住すべてが楽しめる商店街だったが、大型店の出現や後継者不足、時代の流れに少しずつ淘汰され、いつしか一軒、また一軒と空き家が目立ち始めた。

 夜でも明るいアーケード街は、それでも駅前の顔として見られた。

 『素敵な街であってほしい』と市民の願いが込められ、駅前再開発とかファッションタウン構想などといって、たくさんの人々の手により活性化のための試みが続けられた。やがてコミュニティ空間「中通り倶楽部」が作られ、買い物に限らない街なかの交流が図られた。逆風は続いていたが、商店街は力強く新たな時代へ漕ぎ出していた。

 21世紀のドアが開いた。

 インターネットという得体の知れない情報伝達ツールを手にした商店街は、力を合わせてホームページ「ウェブまりふ」を立ち上げた。空前の人気を博した。先進のツールを使いこなす商店街として注目を集め、みな俄に笑顔をこぼした。だが依然として商店街に人々の姿は戻ってこなかった。

 バーチャルだけではダメなんだ、リアルの街と融合できる接点が必要なんだ。インターネットと街の狭間に、人と事の間に「マリフドットコム」は誕生した。

 人が集まった。様々なアイディアが練られ、それらは次々具象化された。もはや商店街だけの力ではなく、街を思う人々の力が集約され、エネルギーとなって再び街を動かし始めた。

 空き店舗が埋まった。閉ざされる店もあったが、また別の店が開いた。それで良い。新陳代謝が活発になれば、必ず活気が生まれる。「あの新しいお店、行ってみた?」と、街の人の瞳に期待と微笑みが帰ってきた。

 さらに新しい時代へ──。栄枯盛衰、商店街に幸あれ。

(文・ふじたのぶお)



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