ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/4/7 (最終回)

 点滅する信号に促され足早に国道を渡った。アーケードの下を歩いてバス停を通りすぎ、賑わうコンビニ店に目をくれて、駅にたどり着いた。通勤電車から流れ出てくる人をやりすごし、しばらく線路沿いの細い道を散策して、黄昏どきの公園に向かってみた。

 風に運ばれた紙くずを追いかけて見た電柱には、奇妙な看板と、はがされた張り紙の跡が残っていた。

 けれどもそれは目立つ事ではなく、歩きながら見るのは、やはりきれいに飾られたお店であり、どこからか聞こえてくる音楽に気を惹かれた。食事処や酒場のネオンが、ぽつぽつと灯され始めていた。

 インターネットを活用し、商店街へ集う人の力によって「駅前の元気をアピールしよう」と取り組んできた近年の活性化事業は、ひとまず節目を迎えた。その間に新しく開業したお店もあれば、惜しまれつつ幕を下ろしたお店もあった。依然として景気は良くないが、それでも催されるイベントに応じて巷の人の気配は、寄せては返す波のように駅前の各所で見られ、話題をさらって街の表情を形作った。

 街の活力とは何だろうか。

 街へ出かけて楽しげに笑う人々は、何かを求めて満足しているにちがいない。だれかに会う、何かを買うなど、物事を得ることでスリルや感動を充たすために、期待をもって街へ赴くのだ。

 人々が集う駅前で、目には見えない様々な「思い」が入り交じる。人あり、店あり。小さな行動の一つ一つが、きっとこの街の未来を拓く。

 明日もまた、どこかでだれかが何かを始めようとしている。さあ、今日も駅前で乾杯だ。


 長らくお楽しみいただいた平成十五年度中心市街地商業活性化推進事業マリフプレゼンツは、三月末をもって終了いたしました。あわせて中通り商店街のマリフドットコムも、インターネットの交流空間として時代の役目を果たし、閉店いたしました。
 これまでにご支援いただいたたくさんの方々、また、本欄において貴重な紙面を快くご提供くださった防長新聞社に、心より感謝を申し上げます。
 さて、初々しい美しさにふと足を留めてしまうこの頃。駅前界隈にも誇らしく咲く桜がたくさんあります。門出を祝うに相応しい和らぎのある風景の中、マリフドットコムも新たなステージへ向かって、素晴らしい仲間とともに鋭意準備をしています。
 今後も旧倍のご支援、またご指導ご鞭撻をいただければ幸いです。
 ご愛読をありがとうございました。
平成十六年四月
マリフプレゼンツ実行委員長
藤田信雄


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