ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/3/31

街は生きている

 足早に歩く人がいる。立ち止まって話す人もいる。通り過ぎる人々もあれば、そこへ住まう人たちもある。買い物をするために、だれかに会うために、どこかへ行くために駅前には、いつもたくさんの人が行き交う。

 見慣れた風景に感動はないが、駅や店が無くなったら、だれもが困るにちがいない。今も昔も駅前では、人や物、情報がたえまなく交流している。

 戦後まもなく駅前に市が生まれ、街は形を整えた。大小の店が看板を掲げ、公園が建造され、道ができた。背の高いビルが建てられて、新しい形態の商業施設が人気を博した。やがてビルは取り壊され、また別の建物が生まれた。少しずつ街の姿は美しくなった。

 街は様々なハードウェアを備えて、いまもなお進化を続けている。

 では、駅前が人々に求められている事柄と、駅前が過ごしてきた年月を合わせたら、どんな図になるのだろうか。それは街に対するみんなの思いと重ねてみたとき、うまく一致しているだろうか。

 おしゃれな街であって欲しいと思う。便利で住みやすい街を望む。安心や安全を願ってやまない。託された夢や街を愛する人々の思いは、大きな期待となって注がれているのだ。

 街づくりは、だれが行うものではない。他人任せに机上の論理をあてがったところで、それだけで良い街になんて決してなるもんか。素敵な街で暮らしたいと思うみんなが、ほんの少しずつ元気を出したら、きっと街はちょっとだけ元気になる。いつの時も街は、人が培って育つ。

 今年もまた三丁目公園の桜が咲いた。


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