ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/2/18

街の佇まい

 自転車のペダルを踏んで駅前の店へ向かう道中には、見慣れていても実に豊かな風景がある。山手町の自宅を発って踏み切りを越え、麻里布小学校の運動場をかすめ、公園の桜を見ながら駅前をめざす。

 この辺りから住宅と事務所らしい佇まいが混在し、やがて商店の看板が目に付くようになる。歓楽街を進むと、まもなくアーケード街へと進入する。

 ところで平成十三年というから、いまから約三年ほど前、岩国の中心市街地活性化を目標にして、一つの街づくり機関「麻里布まちづくり工房」が生まれた。タウン・マネージメント・オーガナイゼーションを略して「TMO」とも呼ばれ、全国の各都市にも見られる。

 岩国では、総合庁舎跡地の活用や、駅舎の橋上化などの具体策を盛り込んだ計画が練られ、実現に向けて様々な取り組みが行われているのである。

 そんな中に商業重点地区と指定した、商店街や店舗がとりわけ多いエリアがある。あまたある計画を実施するために、人や車の流れ、地域の特徴などを考慮した便宜的な区分けといえよう。

 街づくりは一朝一夕にできるほど簡単ではない。立案や課題を解決するために、やたらと年月がかかる事もある。しかし一方で街は、計画を立てた時のままの形を保つほど長閑な場所ではなく、刻々とその姿を変化させている。

 自転車で街を行くと、素敵なお店が新たに誕生していたり、あるいは老朽化した建物が無くなっていたり、思いもよらなかっただろう現実が混沌としていて、その計画の難しさを実感するのである。街は創るものか、作られていくものか、さて。


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