ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/1/28

街の非日常

 いつだったか、バレンタインデーが間近の銀座へ立ち寄った。有楽町よりの大きな交差点にあるファッションビルの入り口には掲示板が特設され、彼氏へ向けた彼女たちの「愛の言葉」がハートに象った赤い紙に書かれ、夥しく貼り付けてあった。

 同じ場所で、短大女子サークルによるハンドベルコンサートが催され、大勢の通行人が足を留め、演奏を見入る師走に出くわしたこともあった。

 街はいつも、普段の様子を保って日常を過ごしている。感動も無く人々は歩き、ある者は目的地へ向かって、ある者は理由なく散策して一日を終える。

 街の風景なんて、実のところ大して見所はない。それは銀座に限らず、いつもそこを歩いている人たちにとっては凡庸な眺めであり、都会であっても退屈は同じようにある。

 そんな街で普段と違う雰囲気を感じたら、やはり興味をそそられて歩み寄り、人垣ができる。催事であれ、事件であれ、非日常的なできごとが活気を呼ぶ。

 「駅前といっても人通りが少ないから、イベントをやったって効果はないよ」とする声も一方にはある。本当にそうなのだろうか。平凡な日常を繰り返す街を見て、人々はどう感じているだろうか。

 古今東西、街を楽しみたい人々はいつも受け手であり、街で楽しませたい店や商店街は、明らかに与える側。決して鶏と卵なんかではない。

 そこかしこで生まれる小さな非日常に、街ゆく人は次の何かを期待する。それが積み重なってワクワクしてくる。ちょっとした違和感を感じたくて、また訪れようと思う。

 はて、自分にできる非日常とは如何に。


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