ふじたのぶおの駅前コラム ウェブ版
防長新聞(水曜日)へ連載している「ふじたのぶおの駅前コラム」を掲載しています。




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2004/1/14

新年の街

 松の内が明けて、街はようやく平常な暮らしを取りもどした。

 正月というのは人々にとって、少し特別な意味を持つもらしく、三が日を過ごすと昨年のできごとが、改めて仕切り直されるようだ。

 依然として景気回復の糸口は見えてこないが、それでもいまどき出会って交わすあいさつには、どこかしら安堵を感じる。商店街を歩けば、一年の門出を祝うように軽やかな琴の音色が聞こえ、成人の日に集った若人の姿もまた初々しいものだった。

 温故知新。彼らの未来を思いながら、駅前を振り返ってみた。

 駅前商店街のホームページ「ウェブまりふ」で、その変遷を見聞することができる。昭和二十年代から現代に至るまでの街の様子を、貴重な写真と分かりやすい解説で綴った、商店街の歴史(防長新聞社編)である。

 当時の祭の風景や、駅前マップなども懐かしく見られる。アーケード建築やタイル舗装がなされ、大型店が出店し、駅前は栄枯盛衰をたどった。そこには、だれもが発展を目指して活躍した軌跡があった。

 ひるがえって現在。クルマ社会が発達し、人々のライフスタイルや価値観も、物が乏しかった当時とは違う。駅前の魅力は、そんな抑揚に合わせて浮沈を繰り返してきたのだろう。

 街は機能を備え、店が生まれ変わり、時代と共に人々は流れている中、若者の姿は今でも街にある。彼、彼女たちに「駅前って何かありそうじゃね」と、希望を抱かせるのは大人たちではないか。まず大人が夢を無くしてはダメなんだな、きっと。

 つつがなく迎えた新年に、街で会う人たちの表情は柔和だ。

[ウェブまりふ>商店街の歴史]

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