携帯電話やインターネットの普及で人の暮らしは、ほとんど劇的に変化した。
平日、休日を問わず一日は、あらかじめ行動を考え、決めておいたものだったが、今やいつでもどこでも最新の情報を得て、フレキシブルに順応する現代人の姿がある。
大人や子供を問わず、短絡した会話だけで的確な行動ができるのは、もしかすると現代人の特徴なのかも知れない。
しかし無駄を省いた暮らしは、一見すると効率良く見えるけれど、とても直感的で直接的な日常が連続しているにちがいなく、きっとストレスの一因となっているのだろう。
立ち止まって考えたり、物思いに耽る時を許してもらえない時流の速さが街にはあり、いつも誰かにグズグズするな、と急き立てられているような錯覚をおぼえてしまう。
そんな日々もいよいよ年の瀬を迎え、街は今、クリスマスに酔いしれている。きらびやかに光るショーウインドウは赤や緑で飾られ、店の中ではクリスマスキャロルが奏でられる。まったく楽しげだ。
ふと一年を振り返ってみれば、記憶は走馬燈のようにアタマの中をめぐる。しかしそれは、かなり目まぐるしくて断片的なのである。駅前のできごとだけを切りとってみても、祭や夜市、事件、事故など、あまりの慌ただしさに順序さえ、さだかには思い出せないではないか。
ある礼拝の中で、こんな説法を聞いた。
忙しいと言ってはなりません。なぜなら人は、忙しいと言えば心を亡くしてしまって、相手のことが見えなくなるからです。
なるほど、一理ある。今日はクリスマスイブ。ちょっとだけ休もう。
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