ネコの手も借りたい師走のさなかに足を怪我するなんて、我ながら情けないできごとだ。前厄をよそ目にテンションを上げて突っ走った一年の、まもなく仕上げという時期だから、なおさらに哀れみを覚えるのである。
だが、不自由をして初めて思い知る事は多い。
たくさんの人が様々な目的をもって集まる街には、文字通り十人十色の状況がある。大半を占める健常な者には予測も出来ない理不尽を、障害を持つ者が強いられているケースは、決して少なくない。
街の安全を考える会議にも何度となく出席し「やれ段差を無くそう、それ歩行者を優先しよう、バリアフリーとは」と、ありきたりの意見を述べた。もちろんそう願って話し合った。しかし会議から帰る道すがらのクルマで、舌の根も乾かぬうちに、横断歩道を渡る人を遮っては仕方ないではないか。猛反である。
街に住まう商人として、せめてアーケード街だけでも快適に、と思い盲人タイルのそばの自転車を除けるなどしてみたが、バリアフリーは、そのような事では到底、達成できない。
安全のための障壁をなくすとは、いったいどんな事だろうか。弱者にとって今の街は、まったく危険極まる場所なのだ。
己が怪我をして一つだけ気づいた。安全のハードウェアとして街を完全に整備する事は、おおよそ不可能だろう。しかし、人を思いやる気持ちがあれば、段差をなくさずとも、街のバリアフリーは実現できるのではないかなあ。
真新しいギプスが、今年のクリスマスプレゼントか。サンタさんよ、阿々!
|