ひさしぶり、本当にひさしぶりの休日に(なにしろ昨年の7月から完全安息の一日は無かったのです)、フォルクスワーゲンの先輩とショートツーリングを愉しんできました。
昨年の年の瀬。次なる道楽クルマ──いえ、日常の足として暮らし始めたビートルことフォルクスワーゲン・タイプ1(1975年)は、装束町のプロフェッショナル「くらなが自動車」からやってきたニューカマー。その仕上がりたるや、とても27年も前の自動車とは思えない絶好のコンディションでした。
それもそのはず、このクルマは、前オウナーと蔵永氏の熱い情熱と技術、そして確かな部品が惜しみなく注ぎ込まれた至極の一台。ドアの閉まり具合は調度品の戸を閉めるがごとく「カチリ」と小さな音を残すのみ。微妙なアクセルコントロールにもきちんと反応するエンジンは、加速、巡航はもちろん、登坂路にあってもグングンと力強く速度を上げてゆくような次第。おそらく27年前の輸入当時より完成度が高いと言えましょう。
駅前元気出し計画「ほっと麻里布」のコアイベント「マリフドットコム」で、ある人物に出会いました。身長は190センチもあろうかという大きな体躯。しかし物静かな口調で、確実に仕事をこなすのです。仕事の打ち合わせに集った折り、オレンジ色のビートルで独特な音をたててやってきたのが、その人物、M氏。
「やあやあ、これは素敵なクルマですね──」と、仕事をそっちのけでひとしきりのクルマ談義になったのは、けだし当然のなりゆきでしょう。こんな機会に、MGBと同じような旧いクルマを平気で乗りこなしている人物に会ったのですから。
時間が取れるようになったら、きっとツーリングへ行こう。そう約束して半年。ひょんなことからビートルは、私のガレージの住人となったワケです。『こりゃあ、面白いことになった』心の中でほくそ笑んで、千秋の思いで待ちこがれた休日──お正月が来たのです。さっそくショートツーリングを計画。
さて、この日。
季節柄の予期しない悪天候(ま、雪ですね)を嫌って海へ向けてのルートを考え、大島辺りを目指す話し合い。うきうき気分でその日を迎えるや、前日からの天気は下り坂。「幹線は大丈夫でしょう」と一縷の望みを託して、昼下がりにガレージを出ました。
どんなツーリングだったか、はい、写真をご覧になれば説明の必要もありませんね。はっはっは、雪ばっかで景色も見えないし、記念写真たって寒いのなんのって、そりゃあもう・・・!(なんてこった)
雪のツーリングは実のところ初めてではありませんで、数年前、MGBでもって山陰を駆ったロングツーリング「マイルストン250」ときのことが脳裏をよぎりました。
そのときの模様を手記にし、岩ぞうというペンネームでWEBへ掲載してあります。お好きな方はご一読。(笑)
いやぁ、またまたクルマが愉快になってきた。(笑)(笑)
寄稿サイト:MGB on the Web
>Libraly 岩ぞうシリーズ
>>ツーリングエッセイ「マイルストーン ラン」
(この文章は当時のカーマガジンへ連載された原文です)
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